2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーンワールド模型から4次元物理現象の起源を探求する
Project/Area Number |
17740141
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
伊東 正人 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (90378232)
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Keywords | 素粒子論 / ブレーンワールド / 宇宙論 / 超弦理論 |
Research Abstract |
研究期間の2年目にあたる本年度は、宇宙加速膨張に関する宇宙モデル構築を中心に研究が行われた。現代宇宙論において、宇宙初期のインフレーションの後、宇宙は減速膨張から加速膨張に移行していることはゆるぎない観測事実として支持されている。しかし、これを理論的に解明し現在の宇宙像を実現する宇宙モデルは未だ完成していない。私は、高次元空間に埋め込まれたブレーンワールド模型から宇宙モデルを構築していく研究を行っていく中で、このシナリオを実現するモデルを構築することに成功し、論文として発表した。このモデルは、5次元アインシュタイン重力場に4階テンソル場の逆数を含む理論である。この宇宙モデルの時間発展を決めるスケールファクターを解き、4次元有効理論におけるスケールファクターの振る舞いを考察した。その結果、宇宙は減速膨張から加速膨張に移行することが分かった。また、有効理論から誘導されるスカラーポテンシャルを使って宇宙の時間発展を調べても同様の結果が得られた。これらから宇宙加速膨張モデルを構築することによって、4次元物理とりわけ現在の宇宙の起源は高次元にあることを示唆できると私は考えます。提唱された模型は、特有のテンソル場の逆数項を含んでおり、その項の起源については踏み込んでいない。超弦理論の非摂動効果により誘起されると期待しているが、今後、その点を議論する必要があると考えている。 昨年から研究中の事項について述べる。ブレーンワールド模型やAdS/CFT対応(重力理論とゲージ理論の対応)を利用してインフレーションを引き起こすインフラトン場やダークエネルギーの起源についての新しい知見を見出す研究をしている。これにより、4次元物理現象の起源が高次元側の理論で説明できる研究成果が期待できる。
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