2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 茂樹 京都大学, 基礎物理学研究所, 助手 (80362408)
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Keywords | 超弦理論 / 量子色力学 / 超重力理論 / Dブレイン / ハドロン |
Research Abstract |
昨年度、我々は超弦理論を用いた量子色力学の解析法を提案した。Dブレインと呼ばれる膜状の物体を導入することでゲージ理論が実現できることが知られているが、我々はこのDブレインのいくつかをうまく配置することで量子色力学を実現できることを示し、さらにそのDブレインに対応する超重力理論の解を用いることで、場の理論の強結合領域の解析を行うことを試みた。その結果、量子色力学の非摂動的効果であるカイラル対称性の自発的破れに対して幾何学的解釈を与え、パイオンの自由度が正しく出てくることを示し、さらにローメソンやA1メソンといったベクトルメソンの質量やある種の相互作用を計算し、実験値をかなり良く再現することを見出した。今年度は、この研究をさらに大きく発展させ、パイオンとローメソンの間の様々な相互作用の強さ、電磁場とメソンとの結合の仕方、A1メソンやオメガメソンの崩壊幅など、様々な物理量を我々のモデルで計算し、定量的にもやはり実験値をかなり良く再現することを示した。例えば、Wess-Zumino-Witten項にベクトルメソンがどのように含まれるのかを決定し、光子とハドロンの相互作用が必ずベクトルメソンを介して起こるというベクトルメソンドミナンスと呼ばれる性質が、この項を含めて全てのセクターで完全に成立していること、オメガメソンの崩壊の過程が60年代にGell-Mannらによって現象論的に提唱された模型を再現し、さらに隠れた局所対称性に基づいて80年代になされたFujiwaraらの結果を見事に再現することが分かった。
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Research Products
(1 results)