2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740143
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉本 茂樹 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80362408)
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Keywords | 超弦理論 / 量子色力学 / Dブレイン / 双対性 / ハドロン / インスタントン / バリオン |
Research Abstract |
超弦理論にはDブレインと呼ばれる膜状の物体が存在し、これを組み合わせることで様々なゲージ理論を構成できることが知られている。我々は最近、このDブレインの配置を工夫することで、超弦理論の中に4次元のQCDを実現しうることを示し、さらにこの系を超重力理論による近似を用いて解析することにより、現実に存在する様々なメソンの質量や相互作用をかなりうまく再現することを示した。平成18年度はこの方法をさらに推し進め、バリオンに関する研究を行った。この記述を用いると、バリオンは5次元ゲージ理論における4次元空間の上のインスタントンとして実現される。バリオンをソリトンとして実現するという意味では古くから研究されているスカーム模型と同じ考え方であるが、今の取り扱いではベクトルメソンの寄与も取り入れており、スカーム模型よりも良い結果が得られると期待できる。 このインスタントンの回転や振動を取り入れると、インスタントンのモデュライ空間上の量子力学系に帰着することが分かり、この系を量子化することで陽子、中性子、Δ粒子のみならず、それよりも質量が大きな様々なバリオンが得られることが分かった。 そのスペクトルは現実のバリオンのスペクトルとぴったりと一致はしないものの、その一部の特徴を良く捕らえており、`こうした取り扱いの有用性を示唆している。特に、スカーム模型では得られなかうた数多くバリオンが得られた点は興味深い。 なお、この研究成果は研究発表の欄には載っていないが、論文としてまとまっており、既に雑誌への掲載が決定している。
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