2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペンタクオークの共鳴・散乱状態の厳密5体理論による研究
Project/Area Number |
17740145
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
肥山 詠美子 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (10311359)
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Keywords | ハドロン物理 / ペンタクオーク |
Research Abstract |
ハドロン分野における中心課題の一つとして、90年代初頭から、4、5、6個のクオークで構成されるマルチクオークシステムの理論的研究、及び探索実験が精力的に行なわれて来た。昨年、5個のクオークからなる新素粒子ペンタクオークΘ^+の発見が大阪大学の実験グループによって発表され、大きなインパクトを与えている。理論側に緊急に要求されていることは「散乱・共鳴境界条件の下に厳密5体問題として取り組み、ペンタクオークΘ^+のスピン・パリティを決め、狭い共嶋の幅を説明し内部構造を解き明かすこと」である。 そこで、本研究の目的は、申請者自身が提唱し開発した「無限小変位ガウスローブ基底関数に基づく少数多体系の厳密計算法」を活用し、構成子クオーク模型に立って、N+K(nuclen+kaon)散乱チャネルを取り入れた厳密5体問題を解き、ペンタクォークΘ^+の諸性質(質量、崩壊幅、スピン・パリティ、内部構造)を解き明かすこと、である。 平成17年度は、Θ^+の5体計算に適用し、基底状態の候補スピン・パリティであるT=0,J=1/2^+,J=1/2^-の共鳴の存在の有無について本格的計算を行なった。さらに、他のスピン・パリティ状態(T=1,J=1/2^+,J=1/2^-など)の共鳴の存在の有無についても総合的に研究を行なう。現在までに、準備的計算結果ではあるが、閉じ込めポテンシャルの中に閉じ込められている配位のみ(N+K散乱チャネルを無視する>で解くと、J=0,J=1/2^+,J=1/2^-が実験値近傍に束縛状態として得られる。b)しかし、N+K散乱境界条件の下に解くと、実験値近傍のエネルギー領域には、T=0,J=1/2^+、J=1/2^-が、共鳴状態として存在し得ず、非共鳴連続状態となることが明らかになった。
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