2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペンタクオークの共鳴・散乱状態の厳密5体理論による研究
Project/Area Number |
17740145
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
肥山 詠美子 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (10311359)
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Keywords | ハドロン物理 / ペンタクオーク |
Research Abstract |
ハドロン分野における中心課題の一つとして、90年代初頭から、4、5、6個のクォークで構成されるマルチクオークシステムの理論的研究、及び探索実験が精力的に行なわれて来た。昨年、5個のクォークからなる新素粒子ペンタクオークΘ^+の発見が大阪大学の実験グループによって発表され、大きなインパクトを与えている。理論側に緊急に要求されていることは「散乱・共鳴境界条件の下に厳密5体問題として取り組み、ペンタクオークΘ^+のスピン・パリティを決め、狭い共鳴の幅を説明し内部構造を解き明かすこと」である。 そこで、本研究の目的は、申請者自身が提唱し開発した「無限小変位ガウスローブ基底関数に基づく少数多体系の厳密計算法」を活用し、構成子クォーク模型に立って、N+K(nuclen+kaon)散乱チャネルを取り入れた厳密5体問題を解き、ペンタクオークΘ^+の諸性質(質量、崩壊幅、スピン・パリティ、内部構造)を解き明かすこと、である。 平成18年度は、前年度にペンタクオーク状態が、非共鳴状態になったことを受けて、そもそも適用しているモデル計算(構成子クォーク模型)が適切であるのかどうかを調べることを行った。近年、Belleのグループにおいて、4クォークシステム(X(3872))が発見された。この状態が、報告者の用いる計算法で、実験を再現するのかどうかを研究をした。c, c-bar, q, q-barの4体問題に基づき、D-D散乱チャネルを取り入れた厳密4体問題を解いた。用いるq-qbar相互作用は、現存するメソンの質量を再現するものを用いた。 しかしながら、本研究では、実験値あたりに共鳴状態は存在しないことが分かった。しかしながら、q-qbar相互作用間に未だに、不定性が多く残されているので、更なる理論研究が必要である。
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