2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉岡 興一 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (80363323)
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Keywords | 素粒子論 / ニュートリノ |
Research Abstract |
本年度は研究実施計画に基づき以下の課題について研究を行った。 ●超対称統一模型の低エネルギー理論において、右手型ニュートリノの結合定数が果たす役割について検討をおこなった。電弱ヒッグスポテンシャルの構造、第3世代フェルミオンの質量統一問題、Bメソン系やレプトンのフレーバー物理、宇宙の暗黒物質の問題などについて、詳細な数値解析とともに将来の素粒子実験における影響を考察した。 ●ニュートリノ領域における世代間対称性の新しい破れの機構を提唱した。右手型ニュートリノが4次元を超える(有限な)余剰次元空間を伝播する場合に、非自明な境界条件が対称性の破れを導く。この破れにより、tri-bimaximal型の世代混合などの、特徴的な現象論的帰結が導かれることを見いだした。 ●D項による超対称性の破れの効果は、統一理論における世代構造と密接に関わっている。超対称性の破れの詳細に依らないスカラー質量間の関係式を複数見いだし、超対称粒子が観測された場合にそのスペクトラムと組み合わせることによって、直接的に高エネルギー領域の世代構造を探ることが可能であることを明らかにした。 ●非可換世代間対称性は物質場の質量項を統制する。非自明表現のビッグス場による対称性の破れを、ポテンシャルをあらわに扱うことにより系統的に考察し、理論の真空において質量項にゼロ構造が生じる機構を提唱した。対称性の非可換性のため、アップ型とダウン型の質量行列に自動的に差異が生じ、そのため非自明な世代間混合が導かれる機構となっている。 ●超対称性を破る項への重いカイラル超場による閾値効果を取り扱う方法について研究をおこなった。とくにカイラル多重項自身が超対称性の破れをもつ場合に適用可能な、これまでにない評価法を確立した。その一つの応用として、アノマリー伝達による超対称性の破れの紫外不感受性を摂動の全次数であらわに確認した。
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Research Products
(6 results)