2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球放射線帯内捕捉粒子の起源と強度変動に関する研究
Project/Area Number |
17740153
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
晴山 慎 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (60327286)
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Keywords | 地球放射線帯 / 太陽エネルギー粒子 / 宇宙線 |
Research Abstract |
地球放射線帯内部での放射線環境を理解することは、物理的、地球電磁気学的な興味の対象としてだけでなく、人工衛星や今後の人類の宇宙空間への進出を考えると大変重要なことである。近年CRESS衛星の観測により、放射線帯が自然現象により時間的空間的に大きく変動することを再確認している。このようならの変動は、太陽活動やそれに伴う地球磁場の変化が原因であると考えられるが、まだ明らかになっていない。これらの変動機構を明らかにすることは、放射線帯粒子の強度変動を予測する上で大変重要である。 本研究では、TSUBASA衛星に搭載された重イオンテレスコープ(HIT)で観測されたヘリウム同位体のデータから、3He過剰の起源について研究を行っている。HITにより、数10MeV/nucleon領域のヘリウムから鉄核までの荷電粒子を観測した。この解析の中で、放射線帯外部からの粒子の流入に関して大変興味深い観測結果が得られた。HITによるヘリウム同位体の強度は、太陽活動の時期によってその強度と同位体比が変化することが明らかになった。これは、超高層の地球大気組成に関連していると考えられる。 さらに、USERSおよびSERVIS衛星に搭載された放射線モニタで得られたデータの解析も行っている。粒子強度変動を数MeV/nucleonから数100MeV/nucleonのエネルギー領域で、電子、陽子、ヘリウム核について観測を行っている。これかの観測から、大きな磁気嵐が連続して起こることで、放射線帯の電子、陽子の強度分布が大きく変動し、放射線帯内帯および外帯の電子が低高度へ移動すること、陽子成分で10日以上持続する新しい放射線帯を形成することがわかった。 以上の事実について、その機構を現在検討を行っている。
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