2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球放射線帯内捕捉粒子の起源と強度変動に関する研究
Project/Area Number |
17740153
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
晴山 慎 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (60327286)
|
Keywords | 地球放射線帯 / 太陽高エネルギー粒子 / 宇宙線 / 磁気圏 |
Research Abstract |
本研究では、USERS衛星およびSERVIS-1衛星に搭載された粒子検出器(LPD)、つばさ衛星に搭載された重粒子検出器(HIT)で得られたデータを中心に解析し、さらに、ロシアのCORONAS-F衛星、日本のGEOTAIL衛星、アメリカのNOAA衛星の観測データも合わせ、高度の異なる衛星による多点同時観測による地球磁気圏の立体的な解析を実施することで、地球放射線帯の変動および太陽高エネルギー粒子の地球磁気圏内への侵入の様子を観測高度の相違から解析し、地球磁場に捕捉された高エネルギー粒子の起源を解明することを目的とした。また、放射線帯内での荷電粒子の強度変動の研究から、より精度の高い"宇宙天気予報"のための基礎研究を行なった。 SERVIS-1およびUSERS衛星データの解析により、数日内に連続して起こる大きな磁気嵐時の放射線体内部、特に南太平洋異常帯(SAA)での陽子強度変動が、2回目の磁気嵐の際にSAA中心部で増大し、その後周辺部へ広がっていくことを明らかにした。また、SERVIS-1、CORONAS-F、NOAA衛星データにより、地球近傍のL〜1.6付近で観測される電子降下に伴う短時間の電子強度増大の起源が、発生場所と発生時間の相関からオーストラリア西部およびハワイにあるVLFステーションであることを特定した。 つばさ衛星データの解析により、太陽静穏期の放射線帯外側(L>5)領域の20-200MeV/nの重イオンは、主に銀河宇宙線から供給されるが、捕捉中の超高層大気との衝突によりその組成と強度が変動することを明らかにした。また、放射線帯内側(L<3)領域での3He同位体の過剰は、太陽活動期の変化に伴う大気組成の変化と一致し、また、Li核は観測されたが、それ以上の重イオンが観測されなかったことから、捕捉陽子と大気原子の衝突がその起源であることを示した。
|