2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740158
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
溝井 浩 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (30388392)
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Keywords | 不安定核 / 核反応 / 核構造 |
Research Abstract |
本研究では、不安定核と安定核のクーロンバリア近傍といった低エネルギー領域での核反応を測定する実験を行うことによって、重い原子核のクラスタ構造を調べることを目標としている。 本年度は、主に実験の具体的な方法の検討と、検出器設計のためのコンピュータシミュレーションおよび、検出器系の設計と製作を行った。本研究では、核反応の断面積を反応エネルギーの関数として測定する必要があるため、検出器系としては多重飛跡サンプル型(MSTPC=Multiple-Sampling and Tracking Proportional Chamber)のものを採用することとした。この型の検出器は、ガス検出器であると同時に検出用のガスが標的も兼ねているため、本研究に適している。しかし、一般にガス検出器は計数率が高くなると動作が不安定になる。近年は、比較的強度の高い不安定核ビームが得られるようになってきたので、高い計数率に耐える検出器とするために、ガス増幅部分にGEM (Gas Electron Multiplier)を採用した設計とした。またGEMと読み出し電極の構造を工夫することで、通常のMSTPC型検出器に比べて、同じ読み出し回路数で、サンプリング点を約2倍にできる。これにより、高い計測率での測定が可能になるだけではなく、反応エネルギーの決定精度と、位置測定精度が飛躍的に向上すると期待される。また、具体的な実験の進め方などについて、国内外の加速器施設の研究者と意見交換を行い、実験遂行にあたって協力が得られることを確認した。
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