2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740159
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
井上 開輝 近畿大学, 理工学部, 講師 (70388495)
|
Keywords | 宇宙背景輻射 / 宇宙の非一様性 / 大規模構造 |
Research Abstract |
1 温度揺らぎの勾配を用いた新しい前景輻射除去アルゴリズムの構築 従来の前景輻射の除去アルゴリズムでは温度ゆらぎの微分の情報を考慮しておらず、銀河面カット中の揺らぎの値をゼロとして球面調和関数の係数を求めるので、銀河面カットの境界値で揺らぎの微分が無限大になり、大角度スケールでは本来の球面調和関数の係数の値をうまく再現出来ない。境界値における温度ゆらぎの空間微分の情報を取り入れれば、より高い精度で球面調和関数の係数を求めることが可能になる。その一例として、harmonic inpaintingと呼ばれる画像処理に使われる手法を用いて、スカイカット内の揺らぎを再構築する手法の数学的アルゴリズムを構築した。ガウス的な揺らぎに対してどの程度、再現性が向上するかモンテカルロ法を用いて定量的に評価したところ、大角度の奇パリティのモードに対して再現性が著しく向上することが判明した。 2 宇宙マイクロ波背景輻射の大角度揺らぎの異常の起源としての局所ボイド ダストを含んだ一様ボイドモデルに対するRees-Sciama効果を解析した。その結果、アインシュタイン-ドジッター宇宙では、ダストの密度が背景に比べ約3割程度少ないボイドの場合、その半径が300h^<-1>Mpcあれば現在観測される宇宙マイクロ波背景輻射の温度揺らぎの振幅に匹敵する局所的な揺らぎを作り出すことが可能であることが判明した。又、天球上に中心の離角が約50度の2つのボイドを考えると、宇宙背景輻射の温度揺らぎの4重極モーメントと8重極モーメントの「向きの一致」や8重極モーメントの「平面性」を説明できることが判明した。さらに揺らぎのパワーの南北非対称性をボイドの数の南北非対称性に帰着出来ることも判明した。
|