2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740159
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
井上 開輝 近畿大学, 理工学部, 講師 (70388495)
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Keywords | 宇宙背景輻射 / 宇宙の非一様性 / 大規模構造 |
Research Abstract |
1.宇宙マイクロ波背景輻射の大角度揺らぎの異常の起源としての局所ボイド 宇宙項入りの平坦FRW宇宙を背景時空とするダスト入り一様ボイドモデルに対するRees-Sciama効果を解析したところ、以下の結果を得た。 アインシュタイン-ドジッター宇宙を背景時空とするボイドモデルと異なり、温度ゆらぎに対して、密度コントラストの一次の項も寄与する。この項は、FRW時空における線形積分Sachs-Wolfe効果に対応する。又、内側の質量が壁に集積しない「漸近的ボイド」においては、密度コントラストの一次の項と二次の項は相関することが分かった。又、内側の膨張速度が小さい場合は、曲率の絶対値が大きくなり、相関は強くなるが、内側の膨張速度が大きい場合は、逆に相関が弱まる。内部ダストの密度が背景のそれに比べて3割程度小さいボイドに対しては、その半径が200h^<-1>Mpcの場合、現在観測される宇宙マイクロ波背景輻射の温度ゆらぎの振幅に匹敵する揺らぎを作ることが出来る。天球上に中心の離角が約60度の2つの局所ボイドを考えると、,温度揺らぎの4重極モーメントと8重極モーメントの向きの一致や8重極モーメントの平面性、さらに1=4,6のモードのパターンを再現することが判明した。 2.2次摂動による一般相対論的Rees-Sciama効果 宇宙項入りの平坦FRW宇宙におけるスカラー2次摂動の一般相対論的効果を調べた。その結果、従来使われてきた、計量の2次摂動を無視し、物質・エネルギーテンソルの2次摂動のみを考慮する流体力学的な取り扱いに比べ、宇宙項優勢時のボイドに対しては温度揺らぎの振幅に最高50%程度の差が生じることが判明した。
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Research Products
(1 results)