2005 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核の核子移行反応断面積を高い精度で評価できる新らしい計算方法の開発
Project/Area Number |
17740160
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
上田 学 秋田工業高等専門学校, 自然科学系, 助教授 (00369919)
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Keywords | 不安定核 / 核反応理論 / 核子移行反応 / 分解反応 |
Research Abstract |
平成17年度は、2体系からなる入射核が標的核と衝突するという3体系を想定し、(1)吸収境界条件を利用する方法(ABC法)に核子スピンを導入する、及び、(2)ABC法に異なる2つのヤコビ座標を導入して3体系の反応過程を記述する理論の開発に取り組んだ。このABC法は、入射核が分解する連続状態を近似することなく量子力学的に取り扱えることが特徴である。現在、2つの座標を取り込んだことによる波動関数の非直交性の問題を計算プログラム上でどのように解決するかを検討し、計算コードの開発に取り組んでいる。また、2つの座標を取り込んだことにより、計算機上で大容量メモリが必要となることが予測されたため、4GBのメモリを搭載したワークステーションを購入した。これにより、ABC法に関してはより大きな空間座標を用いて計算できるようになり、これまで計算が出来なかったより重い標的核や計算精度に問題があった低い入射エネルギーにも適用できるようになった。 上に述べた空間固定座標を用いるABC法とは別に、物体固定座標を導入することにより、連続状態を量子力学的に取り扱えるという特徴を保持したままで、入射核の核子が標的核に移行する反応(核子移行反応)の断面積を計算する方法にも取り組んだ。この方法は、1つのヤコビ座標だけを用いるかわりに、入射核が分解する連続状態に関して非常に高い角運動量まで考慮することによって核子が標的核の周辺に局在するという状態を記述できるのが特徴である。しかし、この方法は低い入射エネルギー・低い全角運動量を想定したもので、現在、より高い全角運動量の場合に適用できるかどうか検討している。
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