2005 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ加熱と粒子加速が銀河・銀河団形成に与える影響
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17740162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 裕 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (10332165)
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Keywords | プラズマ / 粒子加速 / 銀河 / 銀河団 |
Research Abstract |
本年度は銀河団プラズマ中の基礎過程である、加熱と冷却、乱流、磁場の発生について研究を行った。 銀河団のコアからは放射冷却に伴い〜10^<44>erg/sもの強いX線が放射されているが、そのX線のエネルギー源はわかっていない。エネルギー源については諸説あるが、その中でここ数年注目されているのが、銀河団の中心にある巨大ブラックホールの活動に伴いコア中に発生した音波が散逸されて、エネルギーを供給するというものである。我々は同様に音波による加熱が行われているかもしれない、太陽コロナの加熱モデルを銀河団に適用して、銀河団コアが音波で安定に加熱できるかどうか調べた。その結果音波が発生してもすぐに散逸してしまうので、ブラックホールの近傍のみしか加熱できず、コア全体を安定に加熱するのは不可能であることを示した。したがってコアの加熱に関しては別のメカニズムを考える必要がある。その中のひとつが、我々が2004年に発表した乱流加熱モデルであり、このモデルが正しければコア中に乱流があることが予想される。私はその乱流を観測的に検出する手法を開発した。銀河団コア中ではブラックホールの活動で生成された高温ガスが、泡となって漂っていることが多い。この手法は、もし銀河団コア中に乱流があれば、この泡は乱流に乗って移動するので、泡ができた場所と、それが現在観測されている場所が大きく違うはずなので、それを観測するというものである。 一方銀河団ガス中にはマイクロガウス程度の磁場があり、粒子加速において、粒子の散乱体になるなど重要な役割を果たしていると考えられているが、その起源は不明である。我々はプラズマ不安定性で磁場が自発的に形成されるモデルを検証し、観測されている磁場の強度を十分説明できることを示した。
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