2007 Fiscal Year Annual Research Report
ストレンジネスを含むエキゾチック原子核の構造に関する理論的研究
Project/Area Number |
17740174
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
根村 英克 The Institute of Physical and Chemical Research, 岩崎先端中間子研究室, 基礎科学特別研究員 (80391738)
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Keywords | ストレンジネス / 少数多体問題 / 第一原理計算 / エキゾチックハドロン / Ξハイパー核 / 確率論的変分法 / 複素スケーリング法 |
Research Abstract |
ストレンジネスを持ったエキゾチック原子核の中で特に、強い相互作用によって崩壊する状態に対するエネルギーおよび崩壊幅を精密に解くための計算方法の開発を行った。具体的には、ストレンジネスS=-2を持ったバリオンであるΞ粒子(ΞOもしくはΞ-)と軽い原子核(4He)との結合状態(Ξ5HeあるいはΞ5H)は、ΛΛ-NΞ結合相互作用による、崩壊チャネルが開いているため、束縛状態ではなく、崩壊幅を持った共鳴状態として存在する可能性がある。これはもし存在すれば、5粒子系の共鳴状態であるが、これまでの軽いエキゾチック系の共鳴状態の構造計算の多くは、構成粒子の運動の自由度を3体模型、あるいはせいぜい4体模型として扱っている。本研究では、この点を、系を構成しているバリオン数の自由度をすべて取り入れた5体問題として扱い、なおかつハイペロンの混合を引き起こす結合チャネルポテンシャルについて、注目しているΛΛ-NΞだけでなく、NΛ-ΣNやNΞ-ΛΣなど、ストレンジネスS=-1,-2のバリオンの八重項の粒子について可能な、すべてのハイペロン混合の結合チャネルポテンシャルを取り入れた計算を行った。共鳴状態の境界条件を正しく考慮するために、複素スケーリング座標を組み込んだ相関ガウス基底関数を採用し、ガウス関数の空間の広がりパラメータは確率論的変分法を適用して決定したものを使った。ラムダラムダハイパー核として見つかっているΛΛ6Heの結合エネルギーを再現するハイペロンハイペロンポテンシャルとして、Nijmegen模型のうちNDと呼ばれる模型を元にしたポテンシャルを用いた。5体系の自由度を完全に取り入れた模型空間を扱っているため、共鳴状態を正確に求めるには、通常膨大な基底関数を必要とするが、比較的少数の基底関数のもとで、Ξ5Hについては、複素スケーリング法におけるθの回転に対して、幅の狭い共鳴状態と見られる解を得ることに成功した。一方Ξ5Heについては、θの回転に対して、明確な共鳴状態と見られる複素エネルギー固有値は見られなかった。
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[Journal Article] Light Λ Λ hypernuclei2007
Author(s)
根村英克
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Journal Title
Proceedings of the IX International Conference on Hypernuclear and Strange Particle Physics (Springer-Verlag, Berlin Heidelberg, 2007)
Pages: 133-139.
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