2005 Fiscal Year Annual Research Report
波形解析による粒子識別法を適用した大立体角シリコン反跳粒子測定器系の開発
Project/Area Number |
17740181
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上坂 明子 (黒川 明子) 独立行政法人理化学研究所, 本林重イオン核物理研究室, 協力研究員 (50391876)
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Keywords | シリコン半導体検出器 / 粒子識別 / 波形解析 |
Research Abstract |
波形解析を用いた粒子識別法に適したシリコン半導体検出器を設計した。その検出器に接続された前置増幅器からの出力波形を、100MHzでサンプリングすることのできるフラッシュADCを用いて記録した。その波形に対して、後に、様々な波形整形方法を試行することによって、最も粒子識別の精度において優れた方法を選択した。今年度、識別対象とした粒子は、低エネルギーの軽い荷電粒子であったので、エネルギー30MeVの^3He粒子を、厚い銀の標的に照射したときに散乱された軽粒子に対して、上述の測定を行った。結果、原子番号1と2の粒子については、1MeV以上のものに対して、一枚のシリコン検出器で識別可能であることが示された。また、同位体の識別に関しては、5MeV以上の^3Heと^4Heの粒子を区別することができた。これら二つの粒子のエネルギーが5MeVのとき、シリコン中での飛程の差は約4μmである。本識別原理は、飛程の差を時間情報に置き換えて取り出すことにあるので、この程度の飛程差を持った同一エネルギーの粒子間の識別が、原理的には可能であることが示された。一方、1MeVの重陽子と^3He粒子の飛程差がそれよりも大きいにもかかわらず、それ以下のエネルギーでの識別ができなかったのは、時間の原点を正確に決める測定を行っていなかったことによると、波形のシミュレーション結果等から推測された。今後は、その点を確かめるための測定を行い、反跳粒子を、本手法を適用することにより測定したい。
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