2005 Fiscal Year Annual Research Report
B、C及びNのK吸収端近傍X線吸収発光分光による不純物添加ダイヤモンドの電子状態
Project/Area Number |
17740189
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 仁 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (50313416)
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Keywords | ダイヤモンド / ボロン / 超伝導 / 軟X線吸収発光 / 部分電子状態 |
Research Abstract |
本年度はMPCVD装置(慶応大学)の改良を行い、良質のボロンドープダイヤモンド(BDD)薄膜作成法を確立すること、さらに半導体から超伝導を示す幅広いボロン濃度範囲のBDD試料の軟X線吸収発光分光測定を行ない、不純物準位の生成と高濃度ドープによる超伝導発現を、B、C2p部分電子状態密度(PDOS)を通して探ることを目的とした。 現有のMPCVD装置では、ボロンソースとして酸化ボロンを有機溶媒に溶解し、キャリヤガスをバブリングすることによりチャンバー内に導入する。n型ドーパントである窒素の混入を低減させ且つ再現性のある成膜条件を得るためのガスハンドリングシステムを組み上げた。バブリング容器を設計・製作し、システムに組み込む流量計、真空計等を購入した。現在、良質な試料作成のための条件出しを進めているところである。 平行して早稲田大学川原田研から単結晶ダイヤモンド基板にホモエピタキシャル成長させたBDD試料の提供を受け、既存の試料と共に米国ローレンスバークレー国立研究所の放射光施設で軟X線吸収発光の実験を行なった。その為の海外渡航費を請求した。その結果、超伝導転移温度の低い(100)配向試料ではC2pのPDOSに大きなギャップ内準位が存在するが、転移温度の高い(111)配向試料ではそれが少ないことが分かった。非常に高濃度になるとその差は小さくなるが、B2pのPDOSにも同様の傾向(基板方位によるギャップ内準位の大きさの違い)が見られた。この状態は格子間位置に入ったボロンの電子状態である可能性が考えられるが、成膜時に混入する水素とボロンとの結合状態によるとするモデルも提案されている。BDDの高い超伝導転移温度の実現のために水素フリーの試料を用いての実験など、今後更に研究する必要がある。
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