2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ望遠鏡構造における層間振動と電流・電圧特性
Project/Area Number |
17740190
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田村 了 静岡大学, 工学部, 助教授 (20282717)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 2層ナノチューブ / 電気伝導度 / タイトバインディングモデル / 量子化伝導度 / 望遠鏡構造 / ランダウアー公式 / 透過率 |
Research Abstract |
半径の差がグラファイトの層間距離に近い2つのアームチェアーチューブ、(n, n)チューブと(n+5,n+5)チューブ、からなる2層チューブから内側チューブを部分的に引き出した望遠鏡状の構造についてランダウアー公式による電気伝導度、すなわち透過率の計算を行った。各電極は外側チューブか内側チューブのいずれか一方のみに接続されているので全電流が層間を流れ、層間配置(2つのチューブの重なり長や相対回転角度)に電気伝導度は敏感に依存する。 昨年度までは、上述の計算をパイ軌道のみのタイトバインディングモデルによって、伝達積分の値は文献値を用いて行い、電気伝導度は量子伝導度に近いという結果を得ていた。この結果をさらに検証するために、1s,2s,2pの原子軌道を基底関数に用いた第一原理計算を行った。この第一原理計算から得られるハミルトニアン行列や重なり行列によって透過率の計算が出来るように、プログラムを改良した。その結果、量子伝導度よりかなり小さい電気伝導度が得られた。この結果の違いの原因は、1原子あたりの軌道の数の違い、層間の伝達積分の違い、重なり行列の効果などが考えられるが現在研究中である。以上の結果を、日本物理学会やアメリカ物理学会で口頭発表したが、論文も現在準備中である。
|
Research Products
(1 results)