2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740194
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 昌子 大阪大学, 理学研究科, 助手 (30397640)
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Keywords | 電子状態計算 / 超微細相互作用 / 希薄磁性半導体 |
Research Abstract |
本年度は主に電子状態計算手法の整備を行った。 まず、研究代表者の開発したフルポテンシャルKKRグリーン関数法コードに超微細場の計算を組み込んだ。ここでは超微細場(フェルミ接触相互作用項)はただ単に原子核位置での上向き、下向きスピンの電子状態密度の差ではなく、ブライト相互作用を考慮したものである。さらに、超微細場を計算には原子核位置付近で特異なふるまいをする非正則波動関数をどのように取り扱うかが問題となる。このとき、正則、非正則波動関数のロンスキアンが厳密に一定に保たれるような解を求めなければ正しい超微細場を求めることができないということを見出し、またそのような解を精度よく求めるアルゴリズムを整備した。さらに、磁性を詳細に議論するために、スピン-軌道相互作用を考慮した計算も行えるようにコードの整備を行った。ここではスカラー相対論近似にスピン-軌道相互作用を変分的に導入している。この手法を用いて鉄化合物やウラン化合物の超微細場の計算を行ったが、実験に一致するよい結果を出している。 また、フルポテンシャルKKRコードにCPA(Coherent Potential Approximation)を導入した。この手法を用いればランダムに不純物が配置した系の計算が可能である。そのため希薄不純物をシミュレートする場合に有効であり、希薄磁性半導体の計算によく用いられているが、これまでの計算は球対称ポテンシャル近似を用いたものであり、フルポテンシャル計算コードに導入したことで今後様々な系の計算が期待される。 さらに、今後の大規模系の計算に備えて、計算の高速化、コンパクト化を計った。
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