2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドット中の多励起子系の特異な励起状態及び光学非線形性の研究
Project/Area Number |
17740196
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮島 顕祐 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (20397764)
|
Keywords | 量子ドット / 励起子 / ポンプ-プローブ分光 / 二光子吸収 / 赤外誘起吸収 |
Research Abstract |
研究の目的 1.半導体量子ドット中の励起子や多励起子状態において、閉じ込め系特有の電子-正孔間の大きな相関がもたらす励起準位やその緩和ダイナミクスを明らかにする。 2.半導体量子ドットレーザーの高効率化に向け、量子ドット中の多励起子系ダイナミクスと光増幅機構との関係を明らかにする。 研究の内容 1.CuCl量子ドット中の励起子及び励起子分子の励起状態の研究 過去の研究において、CuCl量子ドット中の励起子のリュードベリ1s-2p準位間遷移に対応する吸収が、励起子分子においても観測されることを報告してきた。本研究では、広帯域ポンプ-プローブ分光測定系のスペクトル分解能及び信号検出精度の改善を行い、初めて単一励起子と励起子分子の誘起吸収スペクトルの違いを捉えることに成功した。励起子分子における遷移エネルギーは単一励起子のそれより高く、より大きな閉じ込め効果が働いていることを示唆している。 2.吸収飽和測定測定によるInAs量子ドットのエネルギー緩和過程の研究 低歪積層InAs量子ドットにおいて、ポンプ-プローブ分光による吸収飽和測定を行い、エネルギー緩和過程の研究を行った。その結果、電子-正孔対の第1及び第2励起準位からの緩和寿命を観測した。また、温度上昇に伴い緩和寿命が長くなる特異なダイナミクスを観測し、ドット間キャリア移動などの観点から現在研究を進めている。 3.CuCl量子ドット中の励起子分子発光の時間分解測定 CuCl量子ドットにおいて、光カーゲート法による発光スペクトルの時間分解分光(時間分解能〜1ps)により、二光子共鳴励起及び励起子共鳴励起下での励起子分子ダイナミクスの観測を行った。その結果、二光子共鳴励起下において、過去には報告されていないパルス状の新しい発光が現れることを観測した。この発光がレーザー発振の起源である可能性は大きく、現在その解析を進めている。
|