2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740198
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小嗣 真人 広島大学, 放射光科学研究センター, 研究員 (60397990)
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Keywords | 光電子顕微鏡(PEEM) / 磁性多層膜 / 鉄隕石 |
Research Abstract |
本年度においては、PEEM測定システムに磁性ナノ薄膜作成装置の整備を行うと同時に、鉄隕石の物性評価も並行して行なった。我々は鏡面研磨したウィドマンステッテン構造のαラメラの中央部分に着目した。αラメラは幅300um程度の幅を持つ層状の単結晶であり、空間的に均一な組成をもち、体心立方構造を示す事がわかった。またαラメラの磁区構造の観察を行ったところ、αラメラの長手方向に伸びたストライプ状の磁区構造が観測された。そしてその磁区構造の磁化方向を調べたところ、容易磁化軸が<100>から<110>方向へ45度回転する現象が観測された。これは人工の鉄では見られない奇妙な振る舞いであった。容易磁化軸を決定付けるのは結晶磁気異方性と誘導磁気異方性と形状異方性の和であるため、誘導磁気異方性と形状異方性の効果が、結晶の寄与よりも高いことが示唆された。特に鉄隕石の形成には40億年の長い期間が費やされたと考えられているため、緩やかな冷却による誘導磁気異方性が有力な説明として示唆された。鉄隕石の特異な磁性はその熱と時間的に特殊な形成過程に起因していることがPEEMと放射光を用いて始めて明らかになった。 12月初旬にはアメリカで行われた国際会議「5^<th> International symposium on atomic level characterizations for new materials an devices (ALC'05)」に出席し、研究成果の一部を発表するとともに海外の著名な研究者らと有意義な意見交換を行った。また第8回XAFS研究会(8月)、基盤S研究会(8月)、PF研究会「LEEM/PEEMを用いた表面研究の新しい展開」(10月)、日本物理学会年会(3月)等において、研究成果の一部を発表した。
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Research Products
(5 results)