2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740202
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山口 尚秀 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 特別研究員 (70399385)
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Keywords | 電荷密度液 / スピン密度波 / 荷電秩序 / スライディング / NbSe_3 / 有機伝導体 |
Research Abstract |
集束イオンビーム(FIB)によって鋸歯状に加工したNbSe_3の電気伝導の測定を行った。特に、密度波の運動を測定するために、1)密度波のスライディング現象に伴う狭帯域ノイズの検出(高周波電圧との干渉効果の観測)、2)ヒーティングを防ぐため電流パルスを用いた電流電圧特性の測定、を行った。この実験においては期待されたラチェット効果を観測することはできなかったが、上記の測定手法を用いて、電荷密度波とよく似た電荷秩序状態(機構は異なる)における興味深い電場の効果を調べることができた。電荷秩序を示す有機結晶θ-(BEDT-TTF)_2MZn(SCN)_4 (M=Cs,Rb)に対して上記の測定方法で、電荷秩序のスライディングが起こるかどうか調べた。その結果、スラィディングという集団運動ではなく、熱励起された電子ホール対の解離によって電荷輸送が行われることがわかった。さらに電流電圧特性の解析から、電子間クーロン相互作用がこれまで考えられてきたよりもずっと長距離(10分子以上)まで働くことがわかった。この成果はPhys.Rev.Lett.誌に掲載される予定である。またFIBを用いて、CDWを示すNbSe_3やSDWを示す有機結晶(TMTSF)_2PF_6の表面に、1μm程度の間隔で炭化タングステンの微小電極を作製することに成功した。有機結晶の場合は基板との隙間を埋めるためにGEワニスを用いた。ただし、有機結晶では条件を変えても接触抵抗を1MΩ以下にすることができなかった。タングステン堆積の初期に結晶表面がイオンビームによって傷つくのだと思われる。今後はTi膜をFIB加工したものをマスクとして真空蒸着を行うなどの方法で、有機結晶表面に接触抵抗の小さい電極作製を行いたい。
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