2005 Fiscal Year Annual Research Report
圧力下極低温磁化測定による強い常磁性効果を示す異方的超伝導体の研究
Project/Area Number |
17740216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田山 孝 東京大学, 物性研究所, 助手 (20334344)
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Keywords | 重い電子系超伝導体 / 磁化 / 圧力実験 / 異方的超伝導体 / 磁束状態 |
Research Abstract |
充填スクッテルダイト化合物PrOs_4Sb_<12>はPr化合物では初めての重い電子系超伝導体(T_c=1.85K)である。この物質は超伝導転移以外にも磁場誘起の反強四重極秩序転移を示す。最近、非弾性中性子散乱実験から、低エネルギー磁気励起は主に非磁性四重極相互作用によるものであり、その四重極励起子が超伝導に深く関与していることが示唆された。本研究では、この超伝導と四重極ゆらぎの関係を検証することを目的として、圧力下における極低温DC磁化測定を行った。磁場は[100]方向に印加し、最低温度70mK、最大圧力1.45GPaまで行った。 圧力の上昇とともに、T_cおよび上部臨界磁場H_<c2>は単調な減少傾向を示し、磁場誘起の反強四重極秩序相は低磁場側に少しずつ移動することが明らかになった。また、3.5K付近での磁化率のブロードなピークは加圧とともに低温側に移動することが分かった。これらの結果は、結晶場ハミルトニアンに基づいた数値計算から、基底状態Γ_1と第一励起状態Γ_4^(2)の分裂エネルギーが加圧とともに減少しているとして定性的に理解できることを示した。ここで得られた結果は、四重極励起子による超伝導モデルの理論的予測とは一致せず、超伝導は他の機構によって起きている可能性が高いという結論が得られた。
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