2005 Fiscal Year Annual Research Report
圧力誘起磁気量子相転移と重い電子系超伝導の極低温高圧下NMR/NQR法による研究
Project/Area Number |
17740225
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川崎 慎司 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特任助手 (80397645)
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Keywords | 重い電子系 / 高圧 / 低温 / 核磁気共鳴 / 量子相転移 / 超伝導 |
Research Abstract |
重い電子系超伝導体CeRh_<1-x>Ir_xIn_5における磁気揺らぎと超伝導の関係を調べた。 具体的な成果は以下の通り。 最近重い電子系の新たなトピックスとして二相超伝導現象が注目を集めている[1]。この第二の超伝導を巡っては、Ceの価数揺らぎが引力を生み出すことが理論的に示唆されているが[2]、これまでのところ実験事実が少なく不明な点が多い。この二相超伝導はCe115系(CeRh_<1-x>Ir_xIn_5)でもその存在が発見当初から示唆されていた[3]。 常圧でT_c=0.4Kの重い電子系超伝導体であるCeIrIn_5は、IrをRhで置換すると、負の圧力効果から反強磁性秩序が誘起され、かつT_cが上昇することが報告されている[3]。我々のNQR測定から、CeRh_<1-x>Ir_xIn_5における置換効果により、異方的な反強磁性スピン揺らぎが誘起され、x=0.7で常伝導状態は量子臨界揺らぎが支配的であり、T_cが最大値を取ることを見出した。このことは直接的に反強磁性近傍での超伝導が、スピン揺らぎを起源とすることを強く示唆する。一方CeIrIn_5は加圧することでもT_cは上昇する。この時常伝導状態は1/T_1の温度依存性から磁気揺らぎの無いフェルミ液体状態であることを見出した[4]。つまり高圧下の超伝導は磁気揺らぎとは異なる起源で誘起されていることが示唆される。このことは、CeIrIn_5において磁気揺らぎ(SC1)と、もう一つ超伝導発現機構(SC2)が存在するということを示す。 [1]H.Q.Yuan et al.,Science 302,2104(2003). [2]K.Miyake and H.Maebashi, J.Phys.Soc.Jpn.71,1007(2002). [3]P.G.Pagliuso et al.,Phys.Rev.B 64,100503(R)(2001). [4]S.Kawasaki et al.,Phys.Rev.Lett.94,037007-1〜037007-4(2005).
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