2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古賀 昌久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90335373)
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Keywords | 強相関電子系 / 低温物性 / 物性理論 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物に代表されるd電子系においては、縮退した軌道波動関数の空間依存性により、様々なタイプの磁気秩序、軌道秩序、超伝導等の興味深い物性を示すことが知られている。中でも、Caをドープしたルテニウム酸化物Sr2RuO4において期待されている軌道依存型モット転移はこれまでにあまり議論されていなかった興味深い現象の一つである。この転移は、通常の金属絶縁体転移とは大きく異なり、ある特別な軌道のみがモット転移を起こす現象である。そのため、量子臨界点近傍においては、増幅された強相関効果によりスピン・軌道ゆらぎが誘起されるため、軌道自由度を持つ強相関電子系における新たな物性として注目されている。 このことに刺激され、本研究では、動的平均場近似を用いて軌道依存型モット転移の性質について詳細に議論した。その結果、軌道依存型モット転移により出現した中間相において、重い電子的振る舞いが軌道間相互作用によって誘起されることを明らかにした。このことは、遍歴電子系であるd電子系においても、重い電子的振る舞いが低温において観測される可能性を示している。また、自己エネルギー汎関数法を用いて、相補的な解析についても実行した。その結果、軌道依存型モット転移により誘起された中間相が高温においても安定に存在することを明らかにした。さらに、臨界点(相互作用)や臨界温度が軌道縮退の数とどのように関連しているかについても調べ、軌道揺らぎの重要性について指摘した。
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