2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古賀 昌久 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (90335373)
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Keywords | 強相関電子系 / 低温物性 / 物性理論 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物に代表される縮退したd電子系においては、軌道波動関数の空間依存性により、磁気秩序、軌道秩序、超伝導等の興味深い物性を示す。中でも、Caをドープしたルテニウム酸化物Sr2RuO4において期待されている軌道依存型モット転移は、これまでにあまり議論されていなかった興味深い現象の一つである。この転移は、通常の金属絶縁体転移とは大きく異なり、ある特別な軌道のみがモット転移を起こす現象である。そのため、量子臨界点近傍においては、増幅された強相関効果によりほとんど局在した軌道と遍歴軌道が現れる。このとき、スピン・軌道ゆらぎが誘起されるため、これまでに知られていない異常金属状態が期待され、軌道自由度を持つ強相関電子系におけるホットトピックスの一つとなっている。 このことに刺激され、本研究では、動的平均場近似を用いて軌道依存型モット転移の性質について詳細に議論した。特に、軌道依存型モット転移により出現した中間相における重い電子的振る舞いが、軌道間混成によってどのように誘起されるかについて明らかにした。このことは、遍歴電子系であるd電子系においても、重い電子的振る舞いが低温において観測される可能性を示している。また、相補的な解析を行うため、自己エネルギー汎関数法を用いた解析も行った。有限温度における系統的な計算を行った結果、軌道依存型モット転移により誘起された中間相の安定性について明らかにした。さらに、臨界温度が縮退軌道の数とどのように関連しているかについても調べ、軌道揺らぎの重要性について指摘した。
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Research Products
(6 results)