2006 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴(NMR)法による強磁性・強誘電性共存系の研究
Project/Area Number |
17740232
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 治一 高知大学, 理学部物質科学科, 助教授 (60363272)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 強磁性・強誘電性共存系 / マルチフェロイクス / マンガン酸化物 / 重い電子系 |
Research Abstract |
代表的な成果のみを以下に示す。 1.強磁性・強誘電性共存系(マルチフェロイクス系)の代表例であるBiMnO_3について、前年度に引き続きNMR測定を行い、磁場による静的・動的性質の変化について明らかにした。また、比較対象のために、低温で反強磁性と強誘電性が共存するとされるBiCrO_3についてBi-NMR測定を行った。現在、スペクトル解析を行っているところであり詳細は解析中であるが、Biは1サイトのようである。これは、BiMnO_3においてはBi, Mn核ともに数種類のサイトに分裂することと対照的な結果であり、大変興味深い。 2,他のマルチフェロイクス系に目を向けNMR測定を行った。規則ペロブスカイト系A_3Fe_2WO_9(A=Ca, Sr, Ba, Pb)やPb_2CoWO_6などは低温で磁性・誘電性共に秩序状態にあるといわれている。これらの試料を固相反応で合成し、Fe核、W核のNMR信号探索を行ったものの、現在まで信号は得られていない。 3.規則ペロブスカイト系のうち、CaCu_3Ru_4O_<12>はf電子を含まないのにも関わらず重い電子的な振る舞いを示すことが知られている。この化合物についてCu核、Ru核NMR測定を行った。低温でCu核NMR信号の縦緩和率1/T_1が温度に比例するいわゆるコリンハ則に従うことを明らかにし、低温でフェルミ液体状態が形成されていることを明らかにした。また、1/T_1はある温度から急激にコリンハ則からはずれる。このことは、温度と共に電子状態が変化していることを示していると考えている。 4.規則ペロブスカイト系のうちSr_2FeMoO_6はハーフメタリック強磁性体である。Mo核NMR測定を行い低温で1/T_1Tが一定になることを明らかにした。ハーフメタリック体における動的性質の研究はあまり例が無く、この振る舞いがどのような物理と関連しているか興味が持たれる。
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