2007 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴(NMR)法による強磁性・強誘電性共存系の研究
Project/Area Number |
17740232
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 治一 Kochi University, 理学部, 准教授 (60363272)
|
Keywords | 核磁気共鳴 / 強磁性・強誘電性共存系 / マルチフェロイクス / マンガン酸化物 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
1. 強磁性・強誘電性共存系の代表例であるBiMnO_3、およびその比較対象として反強磁性・強誘電性が共存するBiCrO_3についてそれぞれNMR測定を行い、スペクトル解析を通じて微視的観点から磁気構造の違いを検証した。つまり、BiMnO_3ではMnが3サイト(以上)に分裂する複雑で奇妙な磁気構造になるのに対し、BiCrO_3ではcycloidalな磁気構造を取ることで知られているBiFeO_3に似た比較的単純な磁気構造をとることを明らかにした。このように両者は磁気構造が異なっているものの、共に強誘電性を発現することはマルチフェロイクスの共存機構を考える上で大変興味深い。 2. 奇妙な誘電特性を示し誘電性・磁性が相関している可能性がある A サイト秩序型ペロブスカイトCaCu_3Ti_4O_<12>(CCTO)およびその同型化合物CaCu_3Ru_4O_<12>(CCRO)についてそれぞれCu-NMR測定を行った。反強磁性絶縁体である CCTO と常磁性金属である CCRO は Cu 位置における電荷分布が全く異なっていることを明らかにし、この系におけるCu-d電子の電荷・スピン秩序の微視的変化について議論の糸口をつけた。また、CCRO については緩和時間測定を通じて、この系の mass-enhancement が従来より提唱されているdense-Kondoモデルでは説明できないことをはっきりと示した。 3.ハーフメタリック物質であるSr_2FeMoO_6およびSr_2FeReO_6についてNMR測定を行った。核緩和時間測定を通じて、Fe-3d電子が主に局在電子的、Mo-4d電子が遍歴電子的な挙動をそれぞれ見せることを微視的観点から実験的に明らかにした。また、Fe モーメントの有限温度における秩序度の低下は、通常の磁性体におけるスピン波によるものとは異質であることを示した。ハーフメタリック特性を反映したものと考えられ興味深い。
|