2005 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的フラストレーション系における非クラマース二重項基底状態が創る新奇量子現象
Project/Area Number |
17740234
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松平 和之 九州工業大学, 工学部, 助手 (40312342)
|
Keywords | 幾何学フラストレーション / パイロクロア酸化物 / Pr化合物 / 熱電能 / 単結晶育成 |
Research Abstract |
本研究では幾何学的にフラストレートした磁性体Prパイロクロア酸化物Pr_2M_2O_7(M=Sn, Zr, Ru, Rh, Ir, Os, Pbなど)において、磁性を担うPrの非クラマース二重項結晶場基底状態に付随するイジング性を有した磁気的自由度及び四極子モーメントによる軌道自由度によって引き起こされる新たな量子現象の探索とその解明を目的とする.本年度は以下の4つの試料の研究を行なった.(1)金属的で近藤効果が示唆されるPr_2Ir_2O_7の多結晶試料の合成を行なった.熱電能の測定から、大きな負値の極小を示す事を明らかにした.これは重い電子状態形成を示唆する結果である.(2)磁気相転移(165K)を示す半導体Pr_2Ru_2O_7の多結晶試料の合成を行なった.磁気相転移に伴う輸送特性の変化がほとんど見られなかった.(3)これまでに物性の報告が無いPr_2Zr_2O_7をキセノンランプ四楕円型FZ炉にて単結晶育成を行なった.単結晶は得られたが、構造解析からPrサイトの欠損が生じていることが判明した.基礎物性測定からPr_2Zr_2O_7は絶縁体であり幾何学フラストレーション系として期待できる物質であることが示唆されている.欠損の無い純良試料の育成を次年度に行なう.(4)これまでに物性の報告が無いPr_2Pb_2O_7を高圧合成法により作製を試みた.絶縁体であることがわかり、幾何学フラストレーション系として期待される.本年度は試料の合成に労力を費やした.次年度は新物質合成を進めるとともに、基礎物性評価も進め、研究成果を公表していく予走である.
|