2005 Fiscal Year Annual Research Report
近似結晶と対比させたCd-Yb2元系準結晶の高圧低温下構造変化の研究
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17740238
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
綿貫 徹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (30343932)
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Keywords | 準結晶 / 相転移 / 高圧 / 放射光X線回折 |
Research Abstract |
1.Cd-Yb準結晶の常温高圧下における構造変化 本研究の目標である高圧低温下でのCd-Yb準結晶の構造研究を行なう前に、まず、常温高圧下における構造研究を行なった。高圧下の構造観察は、単準結晶試料を用いた高圧下放射光X回折実験により行なった。高圧発生にはダイアモンドアンビルセルを用いたが、その際、圧力媒体として静水圧性の最も良いヘリウムガスを用いた。準結晶の高圧実験は多く行なわれてきたが、静水圧性の問題で明瞭な結果が得られてこなかったという経緯があり、我々はこのような改良を試みた。また、準結晶高圧実験におけるヘリウムガス圧力媒体の利用はこれまでの報告にはないものである。その結果、圧力15GPa付近までは、この正二十面体型の準結晶は等方的に収縮するが、それ以上の圧力では、横波変調型の長波長の構造の乱れが導入されることが分かった。また、この変化は可逆的であり、高圧で導入された構造の乱れは減圧により解消されるものであることも分かった。このように、準結晶の構造の完全性が高圧下で失われていく初期過程を捉えたことは初めてのことであり、高い静水圧性を保った実験を行なったことにより得られたものである。 2.Cd-Yb準結晶の低温高圧下における構造変化 室温で構造の乱れが見られた領域で冷却すると、対称性の低下などより明瞭な変化が見られる可能性があると考え、高圧低温実験の予備実験を開始した。 3.Cd-Yb近似結晶の高圧構造研究に関する成果発表 準結晶との対比研究対象である近似結晶について既に行なった実験結果の考察を行い、準結晶と共通する構造の構成要素であるクラスター間の相互作用について新たな知見を与えた。この成果はPhysical Review Letters(2006)およびIUC r 2005の招待講演で発表した。
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