2006 Fiscal Year Annual Research Report
希土類金属水素化物の秩序-無秩序転移の探索に関する研究
Project/Area Number |
17740239
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
町田 晃彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (70354983)
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Keywords | 物性実験 / 水素 / 放射線、X線、粒子線 / 高圧 |
Research Abstract |
1.放射光X線回折実験 ダイヤモンドアンビルセル中で高密度水素流体と直接反応させて作製したイットリウム3水素化物について高圧下X線回折実験を行った。低圧hexagonal相と高圧cubic相との中間状態(11GPaから22GPa)の構造に焦点を当て、その構造変化の過程を詳細に調べた。これまでに行った研究から中間状態の構造は低圧相と高圧相の二相共存状態ではないことを明らかにしている。そこでイットリウム金属面の積層周期、積層シーケンスを変化させた数種類の長周期積層構造モデルで回折パターンのシミュレーションを行い、実験結果を再現する構造モデルの探索を行った。その結果、14.0GPaの回折パターンは27層の金属面で構成されるユニットセルの菱面体構造(27R)モデルでよく再現できることを明らかにした。また異なる圧力点17.9GPaでは、14.0GPaの27R構造とは異なる積層シーケンスを持つ27R構造が最も実験結果をよく再現する。このような長周期積層構造は母体金属では出現しないため、金属格子間に侵入した水素原子がその形成に関係していると考えられる。このように常温高圧下ではイットリウム3水素化物の金属格子はhexagonal相-cubic相の中間状態においても秩序相を形成している。このとき水素原子も秩序配列をしているかどうかは実験的に明らかにすることは出来なかった。しかしながら得られた構造モデルでは水素原子位置の競合が実現する可能性があるため、秩序配列した金属格子中で水素原子の無秩序化が起こっている可能性がある。 2.高温用ダイヤモンドアンビルセルの作製 高温実験用として製作してもらったダイヤモンドアンビルセルのテストを行った。材質としたインコネルがダイヤモンドアンビルセル材料としては軟らかく、現状のデザインではあまり高圧までかけられないため、新たなデザインを考案している。
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