2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模直接数値シミュレーションによる量子流体乱流の統計法則の研究
Project/Area Number |
17740246
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 恭 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (30335070)
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Keywords | 乱流 / 数値シミュレーション / 量子流体 / 超流動 / ボーズ・アインシュタイン凝縮体 / 非平衡系の統計物理 |
Research Abstract |
液体ヘリウムの超流動状態やBose-Einstein凝縮体(BEC)などの量子流体の運動は、適当な近似の下Gross-Pitaevskii(GP)方程式で記述される。本研究では、古典流体の基礎方程式Navier-Stokes方程式の直接数値シミュレーションの既存のコードを基に、GP方程式の数値シミュレーションのコードを作成し、量子流体の乱流状態のシミュレーションを行った。 数値解法はスペクトル法、領域は周期境界条件の立方体領域、格子点数は512^3までとした。統計的に定常な乱流状態を実現するために、シミュレーションでは散逸項と外力項をGP方程式に加えた。凝縮体はGP方程式では考慮されていない量子揺らぎとの相互作用により密度やエネルギーを散逸すると考えられる。しかし、その相互作用の形は未だ明かではなく、本研究ではその詳細には立ち入らず、散逸項としてなるべく簡単なものとして、Laplacian型のモデルを採用した。一方、外力は低波数のモードを増幅させる形で加えた。 得られた統計的状態について、運動エネルギースペクトルE^<kin>(k)、相互作用エネルギースペクトルE^<int>(k)を求めた。E^<kin>(k)は非圧縮成分E^<wi>(k)、圧縮成分E^<wc>(k)、量子エネルギー成分E^q(k)の3つの成分に分けられる。先行研究では、E^<wi>(k)について古典流体のKolmogorov側と同じk^<-5/3>のべき則が得られているが、本研究ではそのようなべき則は得られなかった。これは、先行研究と外力の入れ方が異なるためだと考えられる。一方で、E^<kin>(k)についてK^<-3/2>のべき則に従うことが、本研究で示された。数値シュミレーションでE^<kin>(k)のべき則が示されたのは、我々の知る限り本研究が初めてである。 また、GP方程式と物理的性質上関連が深いと思われる電磁流体(MHD)の直接数値シミュレーションのコードも作成し、乱流状態のシミュレーションを行い、エネルギースペクトル等の解析を行った。
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