2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740251
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正英 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 助教授 (20306533)
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Keywords | 結晶表面 / 微斜面 / ステップ / バンチング / 蛇行 / 形態不安定性 |
Research Abstract |
結晶表面上を拡散する原子がステップ位置で固化・融解する。直線ステップが等間隔にならぶ微斜面では,結晶の成長・融解に伴い,{ステップが束状になるバンチングや,直線ステップが不安定になる蛇行が起きる. 本研究では,直流電流で加熱したシリコン(001)微斜面におけるステップの蛇行およびバンチングによる形態不安定性について調べた。特に,これまでの研究を拡張し,具体的には,通電加熱による吸着原子の流れにこれまで無視していた吸着原子の蒸発や入射の効果を調べた。具体的には,(1)線形安定性解析を行い,結晶表面への吸着原子の入射および蒸発が不安定化に及ぼす効果について調べた。その結果,吸着原子の流れによる不安定化の効果を抑える働きがあることが分かった。(2)モンテカルロ・シミュレーションを行うことで吸着原子の蒸発があることで,不安定化により生じる蛇行の波長が長波長に移るとともに揺らぎの振幅の成長率および成長のベキが減少することが分かった。また,原子の入射がある場合には,不安定化により生じる蛇行の波長が長波長に移るとともに揺らぎの振幅の成長率が減少するが,ベキの変化がないことがわかった。この結果については,2編の論文にまとめて発表し出版された。 また、Si(001)微斜面でのバンチングの際に、上段向きに吸着原子の流れがある場合と、下段向きに吸着原子の流れがある場合では、バンチングによる2次元的なパターンが大きく異なることがモンテカルロ・シミュレーションから分かった。このパターンの違いを無視した1次元モデルで調べた束の成長では、束の成長速度の吸着原子の流れに対する依存性が実験とは異なるが、吸着原子の流れの向きの違いによる2次元的なパターンの変化を考慮することで,実験と同様な束の成長速度の関係が得られることが分かり、2次元的なパターンの違いが成長速度に対して重要な効果であることが分かった。この結果は、論文にまとめ投稿した。現在印刷中である。 シリコン(111)7×7構造および1×1構造共存微斜面での吸着原子の流れによる不安定化についても調べた。線型安定性から,吸着原子の流れの向きにより、7×7構造と11×1構造のいずれか一方が微斜面において支配的になることが分かった。また、吸着原子の流れの向きによらずステップのバンチングが起きるとともに,下段向きの吸着原子の流れによりステップの蛇行の蛇行が起きることが分かった。モンテカルロ・シミュレーションにより束の成長速度を調べると,ステップ下段向きに吸着原子の流れがある場合のほうが,上段向きに流れがある場合に比べて成長が速いことが分かった。 また、蛇行については、モンテカルロ・シミュレーションに加えて非線形解析を行った。非線形解析より揺らぎの振幅は、時間と友に1/2乗で成長することが期待されることが分かった。モンテカルロシミュレーションをおこない,蛇行について調べた結果は,非線型方程式による予測と一致することが分かった。
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Research Products
(2 results)