2005 Fiscal Year Annual Research Report
GW近似をベースとした第一原理計算コードの開発と強相関軌道分極系への適用
Project/Area Number |
17740256
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
獅子堂 達也 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (20363046)
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Keywords | 第一原理計算 / 軌道秩序 / 内殻X線吸収線二色性 / 遷移金属酸化物 / MPI並列化 / GW近似 / FLAPW |
Research Abstract |
第一原理計算コードHiLAPW全体にわたって、MPIを用いた並列化を行った。計算時間のかかる中心部分においてはk点並列およびスピン並列のスキームを採用し、中規模・大規模系の計算においてかなり理想に近い並列化効率を得ている。スピン軌道相互作用およびLDA+Uを効率よくセルフコンシステントに取り入れるコードの開発・整備を行った。また内殻X線吸収スペクトルを計算するコードを開発した。これらを用いて、LaMnO_3とYTiO_3に対しLDA,GGAに基づく第一原理計算およびLDA+Uの計算を行った。LaMnO_3についてはLDA,LDA+Uともに、正しい軌道秩序を得ることを確認した。MnのKedge共鳴X線散乱の実験から、Mnの非占有p状態が偏極していることが知られているが、その起源をめぐっては、Coulombメカニズム(同一サイトの3d電子からのCoulombポテンシャルによりp状態が偏極)とJahn-Tellerメカニズム(隣接酸素のp軌道との強い混成の結果、Jahn-Teller歪みおよび結晶の対称性を反映しp状態が偏極)の間で論争がある。我々は第一原理計算から、Jahn-Tellerメカニズムが支配的であることを明らかにするとともに、これを実験的に確証する方法として、Kedge X線内殻励起線二色性の実験を提案し、そのスペクトルの予言を行った。YTiO_3についても同様の計算を行った。 GW近似に基づく電子状態計算コード作成にあたり、全体の構想・設計指針を練った。FLAPW法の枠組みのなかでGW計算を効率よく実現するためにproduct basisおよびWeinertの格子和をベースとする手法の検討を行った。
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