2005 Fiscal Year Annual Research Report
超可積分系の対称性と離散化及び付随する特殊関数に関する研究
Project/Area Number |
17740259
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
宇治野 秀晃 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然科学系), 助教授 (00321399)
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Keywords | 超可積分性 / 極大超可積分 / 離散化 / 射影法 / 可積分離散化 / ソリトン方程式 / 伊藤拡散過程 / 確率量子化 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究目的および本年度の研究実施計画に基づき,本年度はCalogero模型並びにCalogero-Moser模型に対する超可積分離散化の研究,およびソリトン方程式に附随する確率過程の構成法に関する研究を進めた.その成果並びに進捗状況は以下の通りである. (1)Calogero模型およびCalogero-Moser模型は,保存量のみで相空間における軌道が決定される極大超可積分系であることが知られている.研究代表者が与えたCalogero模型の超可積分時間離散化のある極限をとることでCalogero-Moser模型の超可積分離散化を与えた.さらにこの手法が,時間連続の場合のCalogero-Moser模型の初期値問題の解法である射影法の離散化として定式化できることも示した. (2)Calogero-Moser模型について知られていたNijhoff-Pangによる可積分離散化の手法と研究代表者による超可積分離散化の手法とが本質的に異なることを示した.またこの副産物として,Nijhoff-Pangの可積分離散化の手法を修正し,見通しの良い形へと書き直した. (3)Sine-Gordon方程式や非線型Schroedinger方程式といったソリトン方程式の解の構造や保存量を使用して,これらの方程式に附随する伊藤拡散仮定を構成し,そのサンプルパスの振る舞いを定性的に説明した.この試みは,ソリトン方程式の記述する非線型光学や物性物理学における様々な現象を視覚的に記述する新たな処方箋を与えることを目指すだけでなく,Calogero模型やCalogero-Moser模型の初期値問題の解法である射影法を確率量子化の手法で量子化するための先行研究としての意味も持つ.
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