2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションを用いた疎水相互作用による泡生成の研究
Project/Area Number |
17740261
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古石 貴裕 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 研究員 (20373300)
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Keywords | 疎水性相互作用 / ナノバブル / 分子動力学シミュレーション |
Research Abstract |
タンパク質は様々な構造を持ち、それぞれが独自の機能を持っている。このタンパク質の立体構造がどのようにして形作られ、その形を保っているかについては未だ不明なことが多い。実験技術の向上によりこれらの謎の一端が垣間見えてきたが、原子レベルでの分子の挙動を調べることは現在においても難しい。最近はコンピュータシミュレーションを用いてタンパク質を原子レベルで調べる研究が多くなされている。そこで水中にある程度の大きさを持った疎水原子からなる集合体を配置して分子動力学シミュレーションを行い、ミクロなレベルでの疎水性相互作用について調べた。親水部・疎水部の比が等しく分布パターンを変えた三種類の親水・疎水板を水中に二つ7.1Åの間隔で平行に配置し、どの程度の大きさの疎水部分が存在すると疎水部分間にナノバブルが生成されるかを調べた。親水粒子としては重心位置を固定し回転運動のみを許した水分子を使用し、疎水粒子としてはOPLSモデルのCH_3粒子(LJ粒子)を使用した。それぞれの親水・疎水板の条件は(a)3×3(長さ1.27nm、面積1.61nm^2)で親水部・疎水部を交互に配置、(b)2×2(長さ0.83nm、面積0.69nm^2)で親水部・疎水部を交互に配置、(c)ランダムに配置、である。この結果、(a)の疎水部の間では安定したナノバブルが生成されたが、(b)の疎水部で生じたナノバブルは安定せず生成と消滅を繰り返した。また(c)では、ある程度連続して存在する疎水部の間において安定したナノバブルが生成された。シミュレーションの結果、疎水部の間に安定したナノバブルが生じるためには1nm^2程度以上の疎水部が必要であることがわかった。これらの結果から、親水部と疎水部のわずかな分布の違いでナノバブルの生成の有無が変化することがわかった。タンパク質ではこの性質を利用し、構造を保持するために必要な部分のみを会合させ、その立体構造を保っていると考えられる。
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Research Products
(2 results)