2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションを用いた疎水相互作用による泡生成の研究
Project/Area Number |
17740261
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古石 貴裕 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 研究員 (20373300)
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Keywords | 水 / 表面 / 疎水性相互作用 / 接触核 / 誘電関数 / 遮蔽ポテンシャル |
Research Abstract |
疎水性の構造物付近での水の挙動を調べるために、構造を持ったグラファイト表面に水滴を付着させた分子動力学シミュレーションを行った。また、表面の構造により疎水性の度合いがどのように変化するかを調べるために、水滴の接触角を調べた。一般的にこの接触角が90°以下のときは親水、90°以上のときは疎水(撥水)とされる。平坦なグラファイト(0001)面に水滴を配置しシミュレーションを行ったところ、接触角は86°程度となった。次に、表面上に一辺の長さが12Åのグラファイトからなる柱を12Å間隔で格子状に配置したとき、柱の高さが高くなるにつれて接触角の大きさが大きくなり、高さが20Åの場合には123°となった。柱の高さが20Å以上になると、水滴はグラファイト表面の底に接触しなくなるため、柱の高さを更に大きくしても接触角の大きさはほぼ一定となった。ただし、水滴の初期位置を柱の上ではなく、表面の底付近に置いたとき水滴はそこに付着したまま安定した。このことにより、ある程度の高さの柱のあるグラファイト表面においては、水滴が安定する箇所が柱の上と底の部分の2箇所に存在することがわかった。その中間に水滴を配置した場合、水滴の上部が柱から数層分上に出ているとき水滴は上昇し、柱の上に至ることもわかった。これらの事実から疎水物質の構造によるフリーエネルギー勾配の存在が示唆される。 クーロン力が働く液体系において、電荷相関関数から誘電関数を求める手法を見出した。さらにこの誘電関数から原子問に働く遮蔽ポテンシャルを導出し、動径分布関数を計算した。求められた結果をシミュレーションで直接計算した動径分布関数と比較したところ良い一致が見られ、今回の結果が妥当であることが確認できた。
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Research Products
(1 results)