2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740263
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
斎藤 弘樹 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (60334497)
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / ソリトン / レーザー冷却 |
Research Abstract |
本研究の目的は気体のボース・アインシュタイン凝縮体で、安定なソリトン(物質波小滴)を生成する方法を見出すことにある。通常、ボース・アインシュタイン凝縮体は磁場やレーザーを用いたポテンシャル中に束縛されている。ポテンシャルが存在しない自由空間中ではボース・アインシュタイン凝縮体は不安定であり、拡散か崩壊をしてしまう。これまでの研究で、原子間相互作用を時間的に振動させると、物質波小滴を安定化できることを見出した。しかしながら、この方法は3次元空間において安定条件が厳しいことがわかてきた。 本年度の研究では、従来の方法と異なり、フィードバック制御を利用して物質波小滴を安定化させる方法について研究を行った。凝縮体を常に監視し、拡散しそうになったら引力相互作用を強め、逆に崩壊しそうになったら引力相互作用を弱めれば、物質波小滴を安定化できると期待される。実際に、適当なフィードバック関数を定義し、数値シミュレーションを行なった結果、この方法が非常にうまくゆくことが明らかになった。実際の実験では、凝縮体の状態を監視する際に、必ず測定誤差が生じる。そのため、測定誤差を考慮したシミュレーションも行った。その結果、物質波小滴の安定性は測定誤差に対して非常にロバストであることもわかった。 また、本年度はスピン自由度を持つ原子のボース・アインシュタイン凝縮体の磁化過程に関する研究も行った。磁化過程においてトポロジカルな欠陥、いわゆるスピン渦が自発的に生じることは前年度の研究で既に明らかになっていた。そこで、今年度は実験系と同じパラメータで計算を行った結果、実験結果を定量的に非常に良く再現できることがわかった。この研究で得られたスピンダイナミクスに関する知見は、スピンを持つ凝縮体の物質波小滴の生成に役立てることができると考えられる。
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Research Products
(5 results)