2006 Fiscal Year Annual Research Report
極低温下の原子気体における空間的非一様な超流動相の理論的研究-微視的立場から-
Project/Area Number |
17740266
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水島 健 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (50379707)
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Keywords | 超流動 / ボース凝縮 / 中性原子 / 量子エレクトロニクス |
Research Abstract |
昨年度より引き続き、中性フェルミ原子気体の超流動状態及びその物性についての理論的研究を行った。昨年度は、2成分からなる中性フェルミ原子気体を考え、その粒子数比が異なる状況化においてFulde-Ferrell-Larkin-Ovhinnikov(FFLO)状態と呼ばれる空間振動した超流動状態が実現し得ることを指摘した。本年度は、より系統的な研究を行ない、原子間相互作用が弱い引力極限ではFFLO状態が熱力学的に安定であることを示した。また、温度と粒子数比とに対する超流動相図を計算し、低温領域でFFLO状態が安定化し、一方の高温では通常のBCS状態が出現するという多重超流動相図を示した。この多重超伝導相図のトポロジカルな構造は弱結合領域において非常に普遍的であることを示した。 また、同様な粒子数比の異なるフェルミ気体系を想定し、その量子渦糸の可視性についても議論した。量子渦は超流動性に基因した直接的な産物である。理論的にはそれは秩序変数の特異点として定義されるが、それが粒子密度分布等の観測量を介して明確に確認可能かどうかは自明ではない。我々は、原子スケールの空間変化を記述可能なBogoliubov-de Gennes方程式を数値解析し、このような渦糸の可視性について議論した。結果として、たとえ粒子数比が異なるような状況においても、全密度分布をスピン成分へ分解することで量子渦糸の可視性が保たれることを指摘した。加えて、準粒子の局所的な状態密度を詳しく解析することで、このような量子渦糸芯近傍の密度分布の特異的振舞いに対する物理的解釈を与えた。
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Research Products
(7 results)