2005 Fiscal Year Annual Research Report
振動励起分子イオン生成による星間空間低エネルギーイオン分子反応の研究
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17740268
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡田 邦宏 上智大学, 理工学部, 助手 (90311993)
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Keywords | イオントラップ / イオン分子反応 / NH_3^+ / レーザー冷却 / 共同冷却 |
Research Abstract |
平成17年度には計画に従い、(1)レーザー励起Ca^<+*>イオンによるCa^<+*>+O_2の反応速度定数kのイオン温度依存性の測定,(2)レーザー励起Ca^<+*>イオンによるCa^<+*>+NH_3反応過程の研究,(3)NH_3ガス導入系の設置とNH_3^+イオンの生成及びトラップ実験、を行った。(1),(2)によって冷却型8重極線形RFイオントラップによる測定系の開発を行い、イオン-分子反応によって生成された分子イオンの質量分析法を確立した。(1)のCa^<+*>+O_2反応速度測定では、イオン温度T=400-800(K)において10^<-11><k<10^<-10>(cm^3/s)であることを明らかにした(以上の成果の一部をJpn.J.Appl.Phys.Vol.45No.2A951-960に公表した)。この結果が得られたことによって、今回開発した装置を用いてイオン-分子反応速度定数の測定が可能であることを確認できた。一方、(2)のCa^<+*>+NH_3反応は、本研究計画で予定されているレーザー冷却Ca^+によるNH_3^+イオンの共同冷却実験を行う上で重要となる反応過程であり、詳細に行う必要があった。そこで量子化学計算コード(Gaussian 03)を用いた反応性の検討を行った後、測定を行った。その結果、予測どおりレーザー励起されたCa^<+*>はNH_3分子との反応性が高く、CaNH^+, CaNH_2^+という分子イオンの生成が確認された。一方、予測に反してradiative association過程によりCaNH_3^+が大量に生成されるという興味深い結果も得られた。以上の結果からNH_3^+イオン生成を行うために必要なイオン源とレーザー冷却を行うためのCa^+のイオン源との差動排気系の重要性が改めて確認された。なお、極低温冷凍機用の冷却水として水道水を用いることを予定していたが、水質悪化により断念し、代替措置として冷却水循環装置を購入し対処することとなったため、冷凍機の導入が年度後半にずれ込んだ。それに伴い、赤外半導体レーザーとPPLN結晶を使用した差周波発生法によるコヒーレント赤外光源の開発は今年度達成することができなかった。一方、新たに自作による赤外光帰還型波長可変半導体レーザーの製作方法を確立することができた。
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Research Products
(2 results)