2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740276
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
羽鳥 晋由 山形大学, 工学部, 助教授 (00283036)
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Keywords | 分子モーター / 細胞骨格 / アクチン繊維 / ミオシン / ATP / 化学力学エネルギー変換 / 協同性 / 滑り運動 |
Research Abstract |
ミオシンII型(ウサギ骨格筋由来)やミオシンXI型(車軸藻由来)の高速運動が実現されるための運動伝達様式を繊維に潜在する能力から見出すことを目的とした.それらミオシン分子によってアクチン繊維に発生するゆらぎを定量評価すると共に繊維内部のメソスコピックな構造変化(繊維状構造の分子間ゆがみ)を直接検出することを試みた. アクチン繊維の構造変化へのミオシンII型分子による関与を確かめるために,蛍光顕微鏡下においてローダミン・ファロイジン標識されたアクチン繊維の持続長(曲げ剛性を表すパラメータとして)を測定した.ATPがないとき,ミオシン分子の濃度増加に伴いアクチン繊維の持続長は7〜14μmの範囲で増加した.ADP・Pi存在下では持続長は3〜15μmの範囲で変動した.僅かなATP濃度(0.5μM)条件において,ミオシン濃度の増加と共に持続長は5μmまで低下した.ミオシン分子との結合によってアクチン繊維の曲げ剛性は高まるが,僅かなATPの添加によって低下することがわかった. ウサギ骨格筋ミオシンII型とそれより数倍速い運動能をもつ車軸藻由来のミオシンXI型が混在した基盤上で,アクチン繊維はその繊維長に依存して加減速運動を起した.短いものほど断続的な運動を起し,かつ30μm/s程の速い瞬間速度を実現した.繊維長が大きいものほど速度は低下し,5μm/sの一定速度を保った.骨格筋ミオシンのみでは運動速度は繊維長によらず一定であることから,この現象は車軸藻ミオシンとの接触によって生じる繊維の局所的な状態変化の繊維内伝播が,繊維全体の速い滑り運動実現の引き金になることを示唆する. 繊維局所での歪みやゆがみを特徴づけるため,画像計測によって蛍光標識部分の変位,蛍光強度や蛍光の広がりを高精度で検出する方法を開発した.
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