2005 Fiscal Year Annual Research Report
相似地震解析による北海道南東沖プレート境界での準静的すべりの推定
Project/Area Number |
17740284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 直希 東北大学, 大学院・理学研究科, COEフェロー (80374908)
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Keywords | 相似地震 / 小繰り返し地震 / 準静的すべり / 2003年十勝沖地震 |
Research Abstract |
解析に用いるデータの収集を行い,北海道大学及び東北大学の微小地震観測網の観測点の両方を同時に用いて解析に使用できるデータベースを作成した.その結果,東北大学のデータについては,1984年,北海道大学のデータについては,1993年以降の地震を解析に用いることができるようになった. コンパイルしたデータを用いた過去約13年の解析により,解析対象領域の北海道南東沖の領域で多くの相似地震が発生していることを明らかにした.その分布は,2003年の十勝沖地震や1973年の根室半島沖地震など大きな地震のアスペリティを避けるように位置していることが分かった. また,相似地震の積算すべりから推定される準静的すべりは,全体的には,プレート境界の深い場所に存在するグループですべりレートが高い傾向が見られた.さらに,2003年十勝沖地震の震源域近くにおいては,本震前のすべりレートは小さかったが,本震後,相似地震活動が活発化し,高いすべりレート(余効すべり)が推定された. 2003年十勝沖地震の余効すべりの量は本震アスペリティの海溝側や東側で比較的大きく,2004年11月29日にM7.1の地震が発生した根室半島沖付近まで達していることが明らかになった.準静的すべりの加速がこの地震の発生時期に影響を与えた可能性が考えられる.2003年十勝沖地震,及び2004年11月29日の地震の余効すべりは2005年のおわりの時点でも継続しているようにみえる.
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