2006 Fiscal Year Annual Research Report
相似地震解析による北海道南東沖プレート境界での準静的すべりの推定
Project/Area Number |
17740284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 直希 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80374908)
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Keywords | 相似地震 / 小繰り返し地震 / 準静的すべり / 2003年十勝沖地震 |
Research Abstract |
今回の解析で得られた2003年十勝沖地震(M8.0)の余効すべり分布の解析結果とGPSデータの解析による余効すべり分布(Yui et al. 2006)を比較した.その結果,相似地震による推定は,GPSデータによる推定に比べ全体的に小さめに求められることが分かった.この結果は,今後の相似地震およびGPSデータの解析精度の向上の上で重要であると考えられる. また,前年度に得た,2004年11月29日に根室半島沖で発生したM7.1の地震の近傍まで2003年十勝沖地震の余効すべりが達していたという結果を受け,この余効すべりのM7.1の地震に対する影響を定量的に評価した.その結果,余効すべりによるM7.1の地震の発生位置での応力変化(ΔCFS)は0.025MPaであり,これまでの研究で知られている地震活動に変化が見られた応力変化量の閾値(〜0.01MPa)を超えていることが分かった.また,余効すべりによる応力変化と本震のすべりによる応力変化を比べると,余効すべりによる応力変化は本震のすべりによるものの4倍以上の大きさであった.これらの結果から,2003年の十勝沖地震の余効すべりが2004年のM7.1の地震の発生を早めた可能性が示唆された. さらに,相似地震データの解析の自動化を進めた.東北大学地震・噴火予知研究観測センターで収録されている連続波形記録から新たに発生した地震を気象庁の震源情報をもとに切り出し,その近傍の過去の地震の波形と比較することにより,相似地震の発生を約3日遅れでモニタリングできる体制を整えた.これにより,北海道南西沖のプレート境界における準静的すべりの時空間変化を準リアルタイムで追跡できる体制が整った.
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