2005 Fiscal Year Annual Research Report
御嶽山南東麓群発地震発生域における自然電位分布の解明とその発生原因の推定
Project/Area Number |
17740290
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 令慧 京都大学, 防災研究所, 助手 (50346061)
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Keywords | 自然電位 / 御嶽山 / 群発地震 / 火山 |
Research Abstract |
1984年長野県西部地震発生以後、現在まで活発な地震活動が継続している御嶽山南東麓において、種々の地球科学的観測により、地下に流体が存在し、その供給・流動が、地震活動・地殻変動を励起している可能性が強く推察される。これまでこの推察の検証のために、地下流体流動を確認する有効な手段の一つである自然電位観測を実施してきたが、地震活動・地殻変動と比較した議論を行うには、自然電位観測網は不十分であった。平成17年度は、当該地域において自然電位異常をより明確にするために、測定網を拡充した。7月下旬に約36Kmにおよぶ測線で計537点での電位測定を行った。過去に得られたデータとの接合および確認のために、再測も含んでいる。 予備的なデータ処理により、以下の自然電位異常が確認された。 1 木股他(2005)により指摘されている、隆起域に調和する正異常域が検出された。この正異常は、M4クラスの中規模地震発生域を南端に持ち、また南北端はクラスター的地震活動域にあたる。 2 上記正異常は、西側にドーナツ状に広がり、比較的地震活動の低調な領域をカバーするように分布している。 3 御嶽山を中心とする地震非発生域の境界で、顕著な電位分布のコントラストが検出された。 現在、得られたデータを説明する予備モデルの構築中であるが、隆起域に調和する正異常の広がり(特に東方向)の確認、クラスター的地震活動域を横切る測線を追加し、電位分布の性状把握・発生原因の推定を行う予定である。 活動モニタリング・予測のための既存の全磁力連続観測点の保守を行った。得られた自然電位分布をもとに、連続観測の方法の検討および候補地の選定作業を行っている。 また17年度には、御嶽山頂上部での自然電位測定も実施し、頂上北東部に約2Vに達する正異常が検出された。測線が限定的であったため、次年度追加観測を行い、火山活動との関係について考察する予定である。
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