2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740292
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
楠本 成寿 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50338761)
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Keywords | カルデラ / マグマ溜り / カルデラ形状 / マグマ溜りの深さ / 解析解 / 弾性定数 / 火山 / 火山物理学 |
Research Abstract |
マグマ溜りの深さがカルデラ形状に与える影響や、カルデラ形成に必要なマグマ溜りの体積変化量に与える影響を定量的に評価した。具体的には、マグマ溜りの変形により地表面に発生する応力場を、クーロンの破壊則により評価することで、カルデラ形成に必要なマグマ溜りの体積変化量と深さの関係を解析的に求めた。解の基本的な構成を知るために、一般的なマグマ溜りとして知られている回転楕円体モデルではなく、球モデル、その中でも小球モデル(Point source model)を採用した。 得られた解は、カルデラが形成されるために必要なマグマ溜りの体積変化量は、マグマ溜りの深さの3乗に比例するというものであった。比例係数は無次元であり、圧縮係数やラメ定数、内部摩擦角の他、力学的・数学的にどのような形で表されるか未だ不明であるが、媒質の弾性定数に依存した定数(無次元)が陽なかたちで含まれている。一次近似的な解ではあるが、マグマ溜りの深さは、カルデラ形成に必要な体積変化(崩壊)量を決定する本質的な条件であることが示された。得られた結果を、2000年三宅島噴火とそれに伴うカルデラ形成に適用してみたところ、カルデラ形成・成長期の平均的な1時間あたりの質量欠損量にほぼ一致した。 次に、有限球モデル(Finite sphere model)による同様の解析を行った。その結果、カルデラ形成に必要なマグマ溜りの体積変化量は、マグマ溜りの深さの3乗に比例する第1項と有限球の効果を表す第2項からなることが明らかにされた。第1項は小球モデル解と完全に一致する。小球モデルに対する補正項ともいうべき第2項にもマグマ溜りの深さが入っており、有限球モデルの場合でもマグマ溜りの深さが重要なファクターであることが示された。
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Research Products
(2 results)