2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740293
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥平 修 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30386718)
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Keywords | 月・衛星・小惑星 / 放射線 |
Research Abstract |
月・惑星探査用の中性子分光計の開発を行った。小規模クレーターの内外部の変化を捉えられるように、高度100kmで空間分解能10kmを目指し、プロトタイプとしてのイメージングカウンタの設計を行った。熱・速熱中性子を観測対象とし、カドミウムのマルチウィンドウコリメータと位置有感型3He比例計数管を組み合わせることにより、空間分解能を向上させている。 まず、空間分解能10kmとした場合のコリメータ長と開口直径の比は約0.1であり、必要となるカドミウムの有効厚さは約5mmであることが分かった。実際にはコリメータへの入射方向を考慮して100um程度にすることができる。この条件のもとで、Lunar Prospectorの観測結果を用いて一本あたりに計数される中性子を計算した結果、5.3E-5 counts/secとなった。コリメータを100本程度にしても重量は70g程度であり、観測地域を極付近にすれば、1年間のミッションで必要となる観測時間を確保できる。また、モンテカルロシミュレーションを用いて、月表面から放出される中性子のfluxと放出角度を計算した結果、15.6 neutron/cm2/secであった(solar averageでの銀河宇宙線)。この結果(エネルギーと角度)に基づき、検出器での応答をさらに詳細に計算している。次に、比例計数管についての設計を行った。Heガスについては、厚さを10atm,10cm程度とすることで50eV以下を高検出効率で実現できる。電極構造は、中性子の入射位置(コリメータ)取得のため、抵抗体のマルチワイヤーとした。 以上の設計に基づき、試作検出器の製作を開始した。Heガス圧は15atmまで試験できるようにチェンバーを設計し、導入ラインを組み上げた。今後は実際に中性子線源等を用いてデータ取得を行っていく予定であり、そのための読み出し回路の設計も着手している。
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