2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740294
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
今西 和俊 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (70356517)
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Keywords | 小地震 / 震源メカニズム解 / 応力場 / 新潟県中越地震 / 福岡県西方沖地震 / 跡津川断層 |
Research Abstract |
平成17年度では振幅値を用いた震源メカニズム解推定法の適用と応力テンソルインバージョン解析により、3つの領域において応力場の推定を行った。これらの研究を通して5kmスケールの応力場の不均質を抽出できることがわかり、内陸地震の応力蓄積過程のモデル化を行うための目処がたった。以下に今年度の研究実績の概要をまとめる。 1.跡津川断層周辺における応力場 地震発生層底部の限られた狭い範囲では横ずれ断層の応力場になっているが、それより浅い部分では逆断層の応力場になっていることを明らかにした。このような応力場の深さ変化が生じる原因として、脆性-塑性遷移領域より深い部分に局在化した非地震性のすべりが生じている可能性を指摘した。この結果は日本地震学会で発表した。 ストッピングフェーズ解析に使用する目的で開始したボアホール観測点での高サンプリング観測では、データを蓄積し始めた。このデータ解析は次年度以降に持ち越される。 2.2004年新潟県中越地震の震源域南部に存在する地震空白域における応力場 推定された応力場は震源域と同じ逆断層の場であったが、六日町断層の南端において横ずれの応力場に変わるという興味深い結果を得た。この結果は地球惑星科学合同大会で発表し、また論文を現在Earth, Planets and Space誌に投稿中である。 3.2005年福岡県西方沖地震周辺の応力場 本震直後から活発化した博多湾周辺の地:震活動は、活断層とは認定されていない地質境界(石堂-海の中道断層)の周辺で発生したため、本震の影響により再活動した可能性が指摘された。しかし、主応力の方位は必ずしも石堂-海の中道断層を再活動させるのに適した角度ではなく、この断層には大きなせん断応力は作用していないことを明らかにした。この結果は地球惑星科学合同大会で発表し、論文はEarth, Planets and Space誌に掲載された。
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Research Products
(1 results)