2005 Fiscal Year Annual Research Report
三次元球殻熱対流物理の理解および地球内部ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
17740298
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
山岸 保子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (10359185)
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Keywords | 計算物理 / 固体地球物理学 / 地球・惑星内部構造 / 熱対流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地球シミュレータ上で数値実験を行うことにより高レイリー数を持つ三次元球殻熱対流の物理を解明することである。本年は、従来から地球シミュレータ上での最適化を進めてきた三次元球殻熱対流計算用コードをさらに改良し、地球表面での解像度がおよそ15kmという高分解能計算の実行を可能とした。その結果、世界最高の下部加熱レイリー数10の8乗を持つ三次元球殻熱対流の数値実験に成功した。そして臨界レイリー数から10の8乗レイリー数までの系統的な数値シミュレーションを行うことにより、得られた結果から統計量を求め、球殻熱対流の様々な物理を明らかにした。まず熱流量(ヌッセルト数)のレイリー数依存性を調べた。従来の研究では、計算を行ったレイリー数範囲が狭いことと、計算時間を省略するために、初期状態として大きな構造を仮定していたため、ヌッセルト数のレイリー数依存性ははっきりとはわかっていなかった。しかし本研究から、ヌッセルト数はレイリー数の1/3乗に比例することが示され、地球熱進化のモデル化において重要な指針を得ることが出来た。次に温度場のスペクトル解析を行い、対流の構造を調査した。結果、対流パターンは、レイリー数の増加に伴い均質から不均質へと変化し、さらにその特徴的構造は熱境界層のスケールを持つことがわかった。また、この特徴的構造スケールのレイリー数依存性が、レイリー数10の8乗近辺から変化することを示し、さらに高いレイリー数では、対流の物理が大きく変化する可能性を示唆した。
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