2006 Fiscal Year Annual Research Report
雲解像モデルを用いた渦状降雪擾乱の多重スケール構造に関する研究
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17740300
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川島 正行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10281833)
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Keywords | 雲解像モデル / 渦状降雪雲 |
Research Abstract |
冬季、日本海上では様々なスケールの渦状に組織化された降雪雲が生じることが知られている。それらの渦状擾乱は独立して存在するのではなく、低気圧、あるいはポーラーロウなどの比較的大きな渦状擾乱に伴うシアライン上に数十〜100km程度の一桁小さな水平スケールを持つ渦状擾乱が形成される場合が多い。本課題では非静力学雲解像モデルを用い、こうした異なる水平スケールをもつ擾乱の相互作用について明らかにすることを目的とする。 平成18年度は、大規模な渦状擾乱によるシアラインの形成メカニズムについて、基礎的な数値実験を行った。具体的には非静力学モデルの初期場に理想化された楕円型の渦を初期場に与え、この渦の周囲に生じる風の変形により、渦の周囲にシアラインが形成される過程について調べた。実験では主にシアライン形成過程の成層の安定度への依存性について調べた。大気下層が安定な場合は非常に弱く、幅の広いシア帯が与えた渦の周囲に形成された。一方、下層が不安定な場合はシア帯で水平風の収束が起こるために渦度の強化が起こり、明瞭な、強いシアラインが生じた。多くの場合、渦に伴う流れによりシアラインの水平方向への引き延ばしが起こるため、シア不安定波の発生は抑制されたが、成層が十分不安定でシアラインが十分に強い場合については、シア不安定波は発達し、シアライン上で小スケールの渦状擾乱が生じることがわかった。
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