2006 Fiscal Year Annual Research Report
気球搭載型エアロゾルゾンデと雲粒子ゾンデによる上層雲粒子と微粒子の同時観測
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17740307
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
酒井 哲 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 研究官 (00377988)
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Keywords | 大気 / エアロゾル / 雲 / 黄砂 / 氷晶核 |
Research Abstract |
本研究の目的は、黄砂(ゴビ・タクラマカン砂漠、黄土高原から発生する鉱物粒子)が、氷の雲を形成する核(氷晶核)として上層雲に及ぼす影響を明らかにすることである。具体的には、エアロゾルゾンデ・雲粒子ゾンデを搭載した気球を黄砂飛来時に放球し、黄砂と上層雲の分布を同時観測する。本年度は、気球観測の準備とエアロゾルゾンデの室内実験をおこなった。 1.気球観測の準備 重気球観測をおこなうための気球飛揚形態を検討した。具体的な形態は、ゴム気球(3000g)の下に吊りひもカッター、パラシュート、レーダー反射器、水蒸気センサー、気圧・温度センサー(GPS付き)を順に接続し、さらにその下に並列してエアロゾルゾンデと雲粒子ゾンデを接続したもの(総重量11kg,全長80m)とした。 2.エアロゾルゾンデの室内実験 昨年度に引き続き、気球搭載エアロゾルゾンデの室内実験をおこなった。具体的には、単分散化した鉱物粒子・黄砂粒子を実験室内で発生させ、エアロゾルゾンデを用いてそのサイズ(光散乱強度)を測定した。また同時に、電子顕微鏡で黄砂粒子のサイズ及び形状を測定した。その結果、等体積球相当半径0.25あるいは0.5ミクロンに単分散化した黄砂粒子の光散乱強度は、通常の校正で用いられる球形粒子の散乱光強度(67,404mV)とは異なり、約20〜1000mVの範囲の幅ひろい値を取ることが分かった。この原因は、黄砂粒子が非球形で、その配向によって散乱断面積が異なるためと考えられる。この実験結果を日本気象学会2006年度秋期大会で発表した。今後は、エアロゾルゾンデで測定した黄砂粒子の光散乱強度と電子顕微鏡で測定したサイズ・形状との対応を調べ、さらに粒子配向を考慮した散乱光強度理論計算値との比較をおこない、黄砂観測データの補正方法を決める予定である。
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Research Products
(3 results)