2005 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙空間からの超高層雷放電観測にむけた広視野望遠鏡検出器制御システムの開発
Project/Area Number |
17740328
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 光輝 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 協力研究員 (50312541)
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Keywords | 雷放電 / スプライト / エルブス / 超高エネルギー宇宙線 / 光電子増倍管 |
Research Abstract |
宇宙線観測用のEUSO望遠鏡を用いて、雷放電に伴う下層大気での放電発光現象(スプライト、エルブス)を付加的に観測するため、光検出器制御システムの基礎開発を平成17年度に実施した。 第一の研究課題として、雷観測時におけるマルチアノード型光電子増倍管(MAPMT)の光電子収集効率の設定に取り組んだ。雷およびスプライトの典型的な発光エネルギー・空間スケール・時定数を用いて、望遠鏡焦点面のMAPMTに入射する光子数を推定した結果、それぞれ2.4×10^5,2.0×10^<4〜5> ph/pix/GTU(GTU=2.5μs)となった。一方、10^<20> eVのエネルギーをもつ宇宙線が励起する空気シャワーをEUSOが観測したとき、入射光子数は200 ph/pix/GTUとなるため、雷・スプライトの発光強度は3桁高いことになる。このことから、宇宙線観測時には10^6に設定しているMAPMTのゲインを適切な値に低下させ、光電子収集効率を3桁落とせばよいことを特定した。この結果をまとめ、2005年5月に行われた日本地球惑星科学連合2005年大会において発表した。 第二の研究課題として、MAPMTでの光電子収集効率を自律的に3桁変更する、自動感度コントローラの基礎開発に取り組んだ。フォトMOSリレーをMAPMTのブリーダー回路に組み込むことにより、フォトカソードへの印加電圧を-900Vから-640Vへ350μs以内に変更する回路を設計した。フォトMOSリレーを用いる最大の利点は、高電圧電源自体のON/OFFをすること無しにMAPMTのゲインを自在に変更できる点であり、将来の衛星搭載機器への応用が大いに見込まれる。回路を試作し性能を検証した結果、光電子収集効率は1/200に低下し、ピクセル毎のイメージングも可能であることを確認した。また、フォトMOSリレーへ70MeV陽子線を照射し放射線耐性を検証した結果、高度430km・3年間の放射線吸収線量である10kradを越えても問題なく動作することを確認した。これらの初期結果をまとめ、日本地球物理学会2005年秋季大会において発表を行った。今後は、光電子収集効率が1/1000になるように改良するとともに、特許の申請も予定している。
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Research Products
(1 results)